LOWWでのevala | Score of Presenceの展示のインストールについての雑記

先日、大岡山のLOWWというギャラリーでevalaさんの展示があり、主に機材側のインストールを協力させていただいたので、そのメモを書いておきたいと思います。

展示は、ギャラリーでちゃんとしたスピーカーは持ち込んでいないものの、ちゃんとサウンドインスタレーションとして完成されていてすごい良かったと思います。

SbYEの新しい展示形態という感じで非常にポテンシャルを感じました。

できたところ

ケーブル配線

これが天職なんじゃないかなと。

ケーブルの選定

今回は、ギャラリーの雰囲気が割と落ち着いていてカチッとしていたので、ケーブルもそれなりに綺麗にするのが良いかなと思いました。

施工方法とそれによる印象の考え方として以下のようなものが考えられると思います。

  1. ケーブルを隠蔽する→ケーブルが作品の構成要素としていらない(絵画から音が出ている不思議感、絵画の存在感、空間全体としての音場感)
  2. ケーブルを気にならなくする→作品の補助要素として、作品の鑑賞の邪魔にならない(今回)
  3. ケーブルを見せる→作品の視覚要素としてケーブルも組み込まれる

今回はギャラリーが空間としてしまっていたのと、ケーブルを完全に隠蔽にすることは無理であることがわかっていたので2の気にならなくするという方向を選択しようと思いました。

使用したのはCANAREの4S6の黒で、壁の深緑に"そこそこ"馴染むような感じがいいかなと思いました。

個人的な考え方ですが、気にならなくするというのは頭で考えるまでもなく受け入れられるのが理想と思っています。

なので、壁の深緑に合わせて深緑のケーブルにするという選択肢もあるとは思うのですが、今回は近くで見るのでケーブルが壁の凹凸として認識されうるので気になっちゃうような気もします。(本質的には凹凸によって壁に影ができる、僕は結構気になるタイプです)

さらにいうならば、音が鳴るというのに対してケーブルが接続されているというのは古くから当たり前のことでむしろないのに音が鳴っていることが気になることさえあると思います。

ケーブルの支持方法

最初はケーブル裏に両面テープによる固定を検討していたのですが、やはりケーブル・壁面と両面テープの相性の関係上はがれが発生してしまったので、変更してケーブルステップルによる固定としました。

また、ケーブルがそのまま壁にピシッとついているとそれはそれで違和感があるような気がしていて、何点かステップルで止められている方が個人的には気にならないんじゃないかと思います(場合による)

ケーブル配線方法

支持点は絵画内部の壁面に3点、露出部に3点で固定しました。

絵画内部で余裕を持たせているのは、絵画を壁にかける際の作業性・絵画の位置変更のしやすさ・ケーブルが引っ張られた時に絵画が落下しないようにするためです。

絵画内部と露出部では支持材を変えており、絵画内部は両面テープ式の強度の強いもの、露出部ではステップルにプラの抑えがついたものを使用しています。

これは絵画内部の部分はケーブルの自重がかかり強度が求められるのに対し、露出部は見栄え重視・壁面から離れないようにするためこのような選定にしています。

ケーブルステップルに関しては複数のステップルを比較して選定しています。

MOTUのドライバーインストール

Mac OSのMojaveかCatalina以降は、セキュリティが厳しくなったのでドライバがうまく入らなかったり、動作が不安定になることが増えたような気がします。

オーディオドライバは基本的にカーネル拡張によって実現されており、Macの場合kextです。

セキュリティが厳しくなったことで、このkextをインストールするときにユーザーアクションが必要になったのですが、kextがインストールされるタイミング、ロードされるタイミング、ユーザーによって許可が降りるタイミングなどの問題により、インストールしてもなかなか起動してくれないパターンがあります。

そのケースでは、手動でkextをロードすることで改善することがあり、以下のコマンドで手動でkextを読み込むことができます。

sudo kextload /System/Library/Extensions/XXXXX.kext

これを実行するとうまくいく場合があります。

なお、上記はIntel Macでセキュリティとプライバシーの項目で許可のボタンが出てこない場合に有効性があり、M1/M2 Macでは以下の記事を参考にリカバリーモードでカーネル拡張機能をそもそも有効化する手順等を踏む必要があります。

www.rme-audio.de

そのほかやったこと
  • ケーブルの端子あげ
  • 動線部の保護
  • 目立たない配線ルートの選定
  • タント1台の後部座席部分に作品・機材が全て収まるような形で運搬
  • evalaさんの誕生日祝い

できていなかったところ

絵画としてではなくスピーカーとして

全体として、作品を絵画作品としてしか見られていなかったです。

この作品の特徴としてスピーカーとしての役割があり、その部分を本質的にはあまり意識できていなかったのではないかと思います。

例えば、今回は壁掛けで展示する形を想定していましたが、ケーブルの都合上作品下部を壁から少しふかす必要がありました。これにより、スピーカーとしての周波数特性は大きく変わることが予想されます。

実際、スピーカーで考えるならエンクロージャーが変わっているようなものと考えられる気がします。

今回で言うとevalaさんは一旦音が出るようになってしまえばものすごい調整能力と空間構成能力で仕上がってしまう(本当にすごい)ので問題にはならなかったですが、今後は設計の時点で考慮しておきたいですね...

ただ、今思うと音の抜け方的には下に抜けていくような形になるので、天井2発のスピーカーとちょっと下に抜ける6発の絵スピーカーでバランスとしては悪くなかったのかもしれません。

ここまで検討・測定・調整などをして作品インストールできるようになりたいなあ。

ケーブルを逃すためのふかしによる絵画の見栄えの変化

上記と同様に壁からのふかしの部分で問題になったのがもう一つ。

今回の作品は、構造色のように見る角度によって色彩が変化するのが作品の魅力の一つです。そのため、ケーブルを通すためにふかしたことで若干の見栄えの変化が出てしまいました。

本来、絵画作品は垂直もしくは斜め下を向いていることが多い(照明が反射しやすく見にくくなるため)ですが、ケーブルを下から出したので若干斜め上を向くようになってしまいました。

今回の場合であれば、ギャラリーの規模感だったので多少の角度のずれで問題になることはなかったですが、大きなスペースだったりディスプレイなどが混在して展示されるような環境では注意する必要がありそうです。

以上の2点を考えると、もう少し径の細いケーブルやフラットタイプのケーブル、より柔らかいケーブルを選定してもよかったかもしれないです。(予算の都合もありますが)

MOTUのインターフェースIN/OUT

これはもうマジでギャグなのですが、インターフェースのIN・OUTを間違えて刺してて、なんか2chしかならないとかずっと言ってましたw

でも、言い訳したくてMOTU ultralite hybrid mk3って背面のレイアウトがやばくて、OUT1・2の横にINの3~8が並ぶっていう...(コリャネーゼ

2bit大先生が遊びに来てくれなかったら音でてなかったかもしれないです。

MOTU ultralite hybrid mk3

終えて

ケーブル配線本当に楽しくてずっとできるんです。そんな仕事お待ちしてます。

ケーブル配線褒められると嬉しいんですが、今回の展示としてはケーブルが目立たないことを目標にしているので複雑な気持ちにはなります...w

まあ、ケーブル配線の部分を見てる時点で同業者か変態なわけでその人たちを気にしすぎてたらいい展示にはならないでしょうがw

お疲れ様でした。